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景気が悪くなると雇用が減るとよく言われますが、この傾向は日本にも当てはまることなのでしょうか?経済と雇用には波があり、サイクルで増加したり減少したりしていますが、ある一定の法則があることに気が付きます。まずは日本の失業率と日経平均株価と比べて見てみましょう。

日本では株価が上がると失業率が下がります。この反比例した関係は経済の根本原理と言えます。景気が良いと消費が増え、賃金が上がり、人材市場も活性化します。求職者は条件が良く賃金が高い仕事を探しやすい時期です。それでは景気が悪い時には日本の人材市場はどのような影響を受けるのか、不況時に何が起こるのか、2008年のリーマンショックや2011年の東日本大震災を例に挙げて見ていきましょう。

下のグラフを見ると、日経平均株価(青いグラフ)が上昇すると、失業率(赤いグラフ)が下がっていることに気づきます。それではリーマンショックが起きた2008年はいかがでしょうか?失業率は急上昇し、株価は暴落していますね。これも強い関係性があることがわかります。

Unemployment

stock market

情報源:Japan Macro Advisors, Macrotrends

 

消費者信頼度と景気

景気が悪いと、消費者の購買意欲にも直に影響を及ぼします。株価と失業率の関係性のように、消費意欲が高いと失業率が下がるという関係性があります。Investopediaによると、消費者信頼度(消費者物価指数)とは、景気動向に対して、消費者がどのくらい楽観的あるいは悲観的になるかを測定する指数です。下のグラフを見比べてみると、やはり似たような結果が出ているのがわかります。失業率が下がると、消費者物価指数が上がるという傾向が一般的にあるようです。

Unemployment

National cpi

情報源:Japan Macro Advisors

 

200年のリーマンショックとGDP・失業率への影響

日本のGDP2008年のリーマンショック後に大きく下がりました。ただ興味深いのは、下のグラフによると、失業率が大きく上がらなかったにも関わらずGDP8%を超える大幅マイナスを記録していることです。このショッキングな出来事は、アメリカでの長年続いた好調な経済状態の裏に潜んでおり、最終的には景気低迷につながりました。アメリカにとって、日本は中国に次ぐ重要な貿易国で、アメリカ経済の影響を良くも悪くも直に受けてしまいます。日本ではもともと多くの業界での人手が不足していたため、雇用は安定しており、不況後も他のOECD国に比べると失業率は低いままでした。しかし日本ではGDPに対してかなりの負債があり、これはGDPが200%を超える国の中で最も高い金額です。ただし日本では負債を国民から借り入れられているのが他の国の状況とは違うところです。

global recession on gdp

情報源:東京財団政策研究所

 

2011年の東日本大震災

リーマンショックと同じくらい、2011年の東日本大震災は景気に大きく影響を及ぼしました。しかし、これは自然災害による悲劇であり、通常の不景気とは違うため、日本経済もいつもの不況時とは違う反応がありました。東日本大震災と、福島第一原発の事故は景気を大きく悪化させました。この災害は復興予算が23兆円と、歴史上最もお金がかかった自然災害だと言われています。震災では死者約16000人を出し、引っ越しを余儀なくされた方もたくさんいらっしゃいます。この不幸な災害は経済全体に波及しました。震災直後、被災地はたくさんの失業者であふれ、停電や節電は日本中の多くの地域の人々を恐怖に陥れました。震災後は消費者の支出が大幅に下がり、景気の低迷が国を弱体化させました。消費の冷え込みは経済を停滞させ、結果的に生産が減り、負債が増加しました。日本全体で、既に問題になっていた人手不足からか、失業率は大きくは下がりませんでした。

japans unemployment rate

情報源:Nippon.com

 

新卒社員と若手社員

一部の一流大学卒業者を除く新卒社員は、パッとしない経済状況下に就職して給与で苦い思いをしているようです。National Bureau of Economic Researchによると、不況特に卒業する学生は、自分に合った仕事を見つけるのに苦労すると書かれています。さらに、カナダの研究によると不況時の新卒入社組は給与が格段に低いとのことで、1年目社員は年収が平均より9%低く、今後はそれも少しずつ減っていくと言われています。このような低い給与が上がるまでには数年かかります。不況による影響は、中間管理職やエグゼクティブ職に比べると新卒者やスキルの低い若手社員が受けてしまうようです。しかし、これはあくまでカナダの傾向であって、日本では状況が違う場合もあります。

 

管理職とエグゼクティブの職の安定

一般的に不景気は雇用に悪影響を及ぼし、特にそのタイミングで新しく仕事探しをしている人は見つけるのが大変だと言えます。不況時でも仕事を見つけることは不可能ではありませんが、特に若い方や経験の浅い方は好条件で給料の高い仕事を見つけるのが難しいようです。一般的には生活の質も不景気の影響を受け、仕事を見つけることができない一部の人々はさらにひどいダメージを受けてしまいます。日本では一般的に、社員を長く大切にする企業が多いことから、マネージャーや上級管理職が不景気の影響を受けることは他の国より少ないようです。東京財団政策研究所の記事The Unchanging Face of Japanese Employmentによると、アメリカに比べて日本は従業員の10年以上の在籍率が断然高く、これは日本ならではの終身雇用制度から来ていると書かれてあります。まだ多くの日本企業が採用するこの長期雇用制度は、勤務する企業がたとえ経済的に落ち込んだとしても、乗り越えるパワーを与えるのでしょう。日本の年功序列はまた、年齢の高い労働者であるほど雇用が保障されていることを意味します。

日本の雇用の傾向や、一社での長い在籍期間から、マネージャー職やエグゼクティブ職の人達は若手従業員よりも不況に影響されにくいと言えます。年功序列制度のある会社だとさらに、ベテラン従業員の方が安心して働けるのでしょう。日本では人手不足に悩む業界も多く存在し、そこでは失業率の影響も受けません。しかしながら、リーマンショックや東日本大震災後に見られたように、一般的には景気が悪くなると失業率は高くなりGDPは下がります。震災の時のように、自然災害による景気停滞では失業率が上がらない場合もあり、このような出来事では被災地に多くの雇用をもたらすための再建が必要とされます。

 

まとめ

  • 経済と雇用は増加と減少のサイクルで動いている
  • 株価が上がると失業率が下がり、消費者物価指数は上がる
  • リーマンショックは不景気をもたらし、全ての大きなOECD諸国の中でも最もGDPを大きく下げた
  • 東日本大震災は歴史上最も被害額の大きい自然災害であり、2011年には景気が下がったが、失業率増加にはならなかった
  • 新卒社員や若手社員は不景気の影響を最も受けやすい
  • 日本の終身雇用制度によって、中間~上級管理職の社員は不景気時にも職の安定が守られやすい

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