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Drug Price

近年、薬事承認を得たにもかかわらず、メーカーが薬価収載を見送るケースが相次いでいます。薬価に対する風当たりが強くなる中、製薬企業と厚生省の新薬をめぐる薬価交渉がより厳しさを増す可能性があります。

 

3度の収載先延ばし

興和の脂質異常症薬パルモディアはフェノフィブラートやベザフィブラートといった他のフィブラート系剤に比べて核内受容体であるPPARαの選択性が高く、低用量で中性脂肪の低下作用とHDL-コレステロールの増加作用を示します。フィブラート系で課題だったスタチン系との併用でも高い忍容性を示すとされるのも特徴です。興和にとって主力品「リバロ」の特許切れを補う新薬として期待を背負っていました。

しかしながら、薬価交渉の不調が収載時期を先延ばしする格好になりました。2017年8月、同11月、2018年4月と3度にわたって収載が見送られた後の2018年5月にようやく収載となりました。興和側は「フェノフィブラートが禁忌の「肝障害のある患者」への治療が可能になる」、「腎障害やスタチンで治療中の患者に対し、安全に使用しやすい画期的新薬として国内外の学会などで評価されている」として有用性加算Ⅱの適用を希望しました。

ですが、薬価算定組織は、既存のフィブラート系薬剤のベザフィブラートは「肝障害のある患者」は禁忌になっておらず、治療方法の改善が客観的に示されているとは認められない、審査報告書では、臨床試験結果などから既存のフィブラート系薬剤と同等の臨床的位置付けの薬剤とされていると判断し、類似薬効比較方式Ⅱが採用されました。

 

価格交渉が折り合わず、収載先延ばしが相次ぐ

価格交渉が折り合わなかったことが原因で、2017年7月に承認を得たセルジーンの末梢性T細胞リンパ腫(PTCL)治療薬「イストダックス」も2度、収載を見送られました。ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤として初めて「再発または難治性のPTCL」の適応を取得した同剤ですが、企業と厚労省との間で薬剤の価値で認識が合わず、収載は承認取得から9ヶ月後の2018年4月となりました。

また、オゼンピックは2018年3月に承認を取得した週1回投与のGLP-1受容体作動薬です。皮下注2 mgが承認されましたが、それだけでは新薬の14日間処方制限ルールに対応できない状態となっています。

同剤は「通常、週1回0.5 mgを維持用量とし、皮下注射する」とされていますが、2 mg製剤では28日分が含有されていることになるため、ノボ側はルールに対応可能な規格の開発が必要と判断。添付文書の用法・用量の内容に沿う形で0.25 mg、0.5 mg、1.0 mgの各ペン製剤の開発を決定しました。

 

まとめ

2018年は薬事承認を得たにもかかわらず、メーカーが薬価収載を見送るケースが相次ぎました。興和の脂質異常症薬「パルモディア」は厚生労働省との価格交渉が折り合わず、収載が3度も延期になりました。最終的には2017年7月の製造販売承認の取得から発売まで11ヶ月を要しました。ノボノルディスクの2型糖尿病治療薬「オゼンピック」は2018年3月に承認を得たにも関わらず、保有する規格では新薬の14日間処方制限ルールに対応できないことから、新たにペン製剤を開発することになりました。

このように、薬価に対する風当たりが強くなる中、製薬企業と厚生省の新薬をめぐる薬価交渉も、より厳しさが増していく可能性があります。

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