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approval of regenerative medicines

再生医療等製品の国内での承認は、つい最近まで4品目でした。このうち「再生医療等製品」の定義や条件・期限付き承認制度ができた医薬品医療機器法(薬機法)の施行後に登場したのは、2015年に承認されたJCRファーマの急性移植片対宿主病治療用間葉系幹細胞「テムセル」と、テルモの重症心不全治療用骨格筋由来細胞シート「ハートシート」の2品目です。その後、3年以上承認品目がありませんでしたが、ここにきて承認取得に向けた動きが一気に加速してきました。

 

先駆け第1号はステミラック、CAR-T療法のキムリアも

先駆け審査指定制度の対象品目(計9品目)では、第1号として2018年末にステミラックが承認され、2019年2月に医薬品として保険収載されました。これに続きそうなのは、ノバルティスが2018年11月に申請した脊髄性筋萎縮症(SMA)に対する遺伝子治療AVXS-101で、2019年上期の承認取得を目指しています。

申請はまだですが、第一三共の悪性脳腫瘍治療用ウイルスG47Δや、タカラバイオと大塚製薬の骨膜肉腫に対する遺伝子治療TBI-1301も、早ければ2019年にも承認にこぎ着ける可能性があります。セルシードの食道がん治療用口腔粘膜由来食道細胞シートCLS2702C/Dも2019年の承認を見込んでいます。

先駆け指定品目以外にも承認が近いものが複数あります。国内初の遺伝子治療薬となるアンジェスの「コラテジェン」や、CAR-T療法用細胞加工製品の国内第1号であるノバルティスの「キムリア」が2019年3月にも承認されました。コラテジェンは慢性動脈閉塞症(閉塞性動脈硬化症およびバージャー病)の治療に、キムリアは再発・難治性のB細胞性急性リンパ芽球性白血病(ALL)やびまん性大細胞型B西郷リンパ腫(DLBCL)の治療にそれぞれ用います。さらに富士ソフト・ティッシュエンジニアリングも同年6月に口唇口蓋裂に伴う鼻変形治療用自己細胞再生軟骨FSI2007を申請しており、2019年に承認にこぎ着ける可能性が高いです。

 


海外は高額、財政への影響が大きい

再生医療等製品は、これまで治療法がなかった疾患やけがの治療を大きく前進させる可能性があります。当然、患者や家族、医療関係者の期待は大きいでしょう。ただ、キムリアが1回投与で約5,400万円かかるなど、米国での価格が高額であることなどから、医療保険財政への影響を懸念する声もあります。

再生医療等製品については、現状では価格算定ルールがなく、個々の製品の特性に応じて医薬品か医療機器のいずれかのルールを当てはめて価格を算定しています。当面は引き続きこの考え方に沿って品目ごとに価格を議論することになるとみられますが、承認事例が増えてくれば、再生医療等製品の価格算定ルールの策定に向けた検討が始まる可能性もあります。

再生医療等製品に対するイノベーションの評価と、医療保険財政の安定化をどう両立させるのか、そのために価格はどうあるべきなのか、承認事例の増加に伴って、その問題に真正面から向き合うことになりそうです。

 


まとめ

再生医療等製品の承認ラッシュが始まりそうです。多くの製品が2019年中に承認にこぎ着ける見込みです。既存製品を含めると年内に承認品目数が2桁に到達する可能性もあります。

 

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